財務諸表、いわゆる決算書を分析することで
企業の本質的価値を客観的に評価できれば、
投資先・就活先企業の選定に困ることはありません!
投資家としてのぼくが財務分析で重視するのは以下の4点。
1. 安全性:倒産可能性は?
2. 成長性:持続的に成長しているか?
3. 収益性:効率的に利益を生み出しているか?
4. 割安性:今の株価は割安か?とはいえ、財務諸表がすべての基礎。
まずは財務諸表が読めるようになろう。 pic.twitter.com/Tg3MYIZVTu— なおころ (@Naokoro_) 2018年7月2日
投資家の皆さまこんばんは、なおころ(@Naokoro_)です。
関東では梅雨明けが発表されましたがマーケットは暗雲が立ち込める日々。
市場の回復を待ち焦がれている場合ではありません。今こそ企業の財務分析に邁進し、有望銘柄を発掘しましょう!
今回は財務分析の体系と注視すべき4つの視点をざっくりまとめました。

財務分析の体系
財務諸表分析の体系図をご覧ください!
まずは財務諸表基礎と呼ばれる財務3表(BS:貸借対照表、PL:損益計算書、CF:キャッシュフロー計算書)が理解できていなければ話になりません。
といっても、それぞれの書類が示している当たり前のことばかりです、ご安心を!
財務3表の内容を簡単に説明すると
- BS:企業の資産はどれくらいあるのか、資本と負債の内訳は?
- PL:企業の売上高はどれくらいなのか、利益と費用の内訳は?
- CF:企業の所有するお金はどれくらいか、その流れは?
臆することはありません。会計初心者の方でもすぐに理解できるでしょう。
財務諸表基礎が理解できれば個別の財務指標を計算するステージへ移行。
指標は安全性、成長性、収益性、割安性の4つの視点に分類することができ、企業の財務状態をより正確に評価することができます。
ぼくの活用する指標は4つの視点合わせて全20個。簡単なものから難しいものまで様々ですが、すべて株式投資の教科書にまとめてあるので興味のある方はご覧くださいませ!

以上が財務諸表分析の体系でした。
押さえておきたいのは2点。
- 財務分析において、まずは財務諸表の基礎を理解しなければならない
- より詳しく企業の財務状況を評価するために、4つの視点(安全性、成長性、収益性、割安性)に基づいた財務指標を活用する
以下ではビジネスマンの必携知識である財務諸表基礎と財務指標の4つの視点をさくっとまとめ。
「企業の決算書なんて見たこともない」と言った方は株式投資初心者が習得すべきEDINETの使い方を先に読んでおくと理解が深まるでしょう。

財務諸表基礎 BS・PL・CF
それぞれの書類についてさくっと解説しておきましょう!
財務3表
●BS(貸借対照表):企業の資本構成を記した書類。保有している現金、商品在庫、そして借金の量などが一覧化されています。主に企業の安全性を計測する際に使用する書類ですね。
●PL(損益計算書):企業の売上高と費用、そしてどれだけの利益が残ったかをまとめた書類。使用用途は主に収益性分析。利益率関連の指標計算では必須の資料です。
●CF(キャッシュフロー計算書):営業、投資、財務3つの部門でお金の流れを管理してる書類。プラス側に振れればお金が企業に入ってきたことを示しており、逆にマイナスの値は企業がお金を使ったことを示します(投資や借金返済など)。

財務分析の4つの視点 | 安全性・成長性・収益性・割安性
会計学の世界においては、何百もの財務分析指標が開発され運用されていますが、今回はぼくが愛用し体系的に整理した全20の指標を4つの視点に基づいて紹介します!
財務指標①安全性:企業の倒産可能性は?
企業の財務分析をする際に、必ず安全性の高さを最優先で確認します。
なぜなら、安全性が低い企業への投資は、倒産という形で投資資本を全て失ってしまう可能性が相対的に高いため。そんなリスクはできるだけ避けたいですよね。
ぼくが重視している安全性指標は以下の5つ。念入りに数字を追うべき項目ばかりです。
安全性の財務分析指標
- 流動比率:短期的な支払い能力
- 自己資本比率:中期的な支払い能力
- ICR:利子支払い能力
- 安全余裕率:経営状況の余裕度
- 有利子負債営業CF倍率:資金繰り能力

財務指標②成長性:企業は持続的に成長しているか?
安全性の次に分析すべきは企業の成長性。
ここ数年で企業の数字がどれだけ成長しているかを確認します。
具体的な項目は下記の5点!
成長性の財務分析指標
- 純資産成長率
- 売上高成長率
- 当期純利益成長率
- 営業CF成長率
- ROIC(NOPAT ÷ 投下資本)
成長性が後述の収益性よりも優先順位が高い理由は明確。
今後も持続的な成長が見込めるビジネスモデルならば、仮に今の段階で収益力が低くても、費用の削減に舵を切ることが十分可能だからです。
高い安全性を維持しつつ売上高や利益が成長していけば収益力の強化はそう難しい話ではありません。

財務指標③収益性:企業の稼ぐ力は?
売上高や企業価値を基準として収益力の高さを計測する指標です!採用指標は下記の5つ。
収益性の財務分析指標
- 売上高原価率:売上高に占める売上原価の割合
- 売上高販管費率:売上高に占める販管費の割合
- ROE(自己資本利益率):自己資本から生み出した利益
- EVAスプレッド(ROIC – WACC):企業価値の創造
- 営業CFマージン比率:キャッシュ総出力

財務指標④割安性:今の株価は割安か?
最後に見るのは企業の株価の妥当性。
企業の本質的価値を軽視する人は割安性から評価を始める人も多いですが、安全性、成長性、収益性が伴っていなければ長期的な収益に結びつかず、意味がありません。
あくまで割安性は、財務指標の最後の計測指標であるべきです。
採用指標は下記の5つ。売上高、利益、キャッシュ、企業価値と多角的に割安性を判断します。
割安性の財務分析指標
- PSR(株価売上高倍率):売上高からみた株価
- PCFR(株価キャッシュフロー倍率):キャッシュからみた株価
- ミックス係数(PER × PBR):当期純利益と自己資本からみた株価
- EV/EBITDA倍率;企業価値からみた株価
- FCF理論株価との乖離割合:フリーキャッシュフローからみた株価

財務指標 4つの視点まとめ
4つの視点に基づいた20個の財務分析指標の定義と、紐づいている財務3表をまとめました。
さらに各指標の解説は財務指標一覧記事にまとめてあります。合わせてどうぞ!

財務分析はExcelで効率的に
正直に言えば、企業の財務分析ははかなり面倒くさいものです。
対象企業の決算書へアクセスし必要な数字を集め、計算する必要がありますよね。その最後のステップ「計算する」を自動化して少しでも効率的な分析を実現するためにExcelシートを活用しての財務分析がおすすめです。
でも自分でExcelシートを構築するのもかなり手間。手っ取り早く財務分析を始めたい方はぼくが愛用している財務分析Excelシートをご覧ください。
時間に投資。楽をしてさくっと財務分析を始めましょう!

財務分析4つの視点まとめ
- まず財務諸表基礎(財務3表)を抑える
- 安全性、成長性、収益性、割安性の4つの視点で財務分析
- 効率的な分析には計算を自動化してくれるExcelシートがオススメ
企業の本質的価値を見誤らなければ投資で大失敗することはありません。
マーケットの雲行きが晴れない時こそ、知名度の低い有望株の発掘に努めましょう。
関連記事:【バフェットコード連携】財務分析ExcelシートVer.4リリース!
それではまた、株式市場でお会いしましょう。
すべての投資家達へ。なおころより。
