本ページでは企業の買収価格と(国家間で差が出にくい)本業利益から株価の割安性を測定する財務指標【EV/EBITDA倍率】についてわかりやすく解説します。
- 指標の計算式
- 目安となる数字
- EV/EBITDA倍率を低くする方法
など、投資家やアナリストが注意すべきポイントをどこよりも分かりやすくお届け。
ぜひ最後まで読んでEB/EBITDA倍率をマスターしてください!
EV/EBITDA倍率とは?意味と計算式を解説
EV/EBITDA倍率(倍) |
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指標分類 | 割安性 |
意味 | 企業の買収価格と 買収先企業の予想利益から 割安性を測定する指標 |
計算式 | EV/EBITDA倍率=EV(企業価値)÷EBITDA |
目安 | 9.1倍(低い方が割安) |
改善方法 | EV(企業価値)を減らす EBITDAを増やす |
算出に 必要な 財務諸表 |
BS:有利子負債、現金及び預金 |
PL:営業利益 | |
CF:減価償却費 | |
備考 | EV/EBITDA倍率の分母が マイナス(営業利益が 減価償却を上回るほど 赤字の場合)は計算できない |
英語名 | EV EBITDA Ratio |
企業の理論的な買収価格と本業利益から株価の割安性を評価する財務指標【EV/EBITDA倍率】はEV(企業価値)をEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)で割ることにより算出できます。
EV/EBITDA倍率をより深く理解するために、EVとEBITDAの定義や計算式を確認しておきましょう⬇︎
EV(企業価値)とは?意味や計算式を解説
- EV=時価総額+ネット有利子負債
- EV=株価×発行済株式数+有利子負債ー現金及び預金
- 企業を買収しようとした際に必要とされるコスト
- 英語名はEnterprise Value
EV(企業価値)とは買収コストの理論値です。
ある企業を買収しようと考える場合、まずは「時価総額(株価×発行済株式数)」分の費用が必要である点は疑問の余地もないでしょう。
加えて、買収したからと言って買収先企業が抱えていた「有利子負債」が消えるわけではありません。よって買収コストに有利子負債を加える必要があります。
最後にその有利子負債を相殺できる買収先の「現金及び預金額」を差し引いた額が買収コストの理論値。
実際には買い手企業とのシナジーなどを考慮し上振れすることも多いですが、買収コストの目安としてなら十分機能しますよ。
EBITDAとは?意味や計算式を解説
- EBITDA=営業利益+減価償却費
- 国家間で異なる税率や金利水準を考慮しない本業利益
- グローバル企業の収益力を評価する際に便利
- 英語名はEarnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization
EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)とは、名前が示すとおり、支払利息や法人税、減価償却費を差し引く前の利益額です。
法人税率や金利水準、そして減価償却にかかる耐用年数は国家間で統一されているわけではありません。
仮に異なる国の企業を比較する際に「当期純利益」で評価するとなると、上記の項目について再計算する必要があります。
そんな国境を超えた企業比較でEBITDAが重宝されます。
国家間で異なる税率や金利などを差し引く前の「統一されたモノサシで」分析できるため、効率的に比較することが可能。
計算式も難しくないためこの機会にマスターしておきましょう!
EV/EBITDA倍率とは買収コストが回収できる予想年数
- EVとは企業を買収しようとした際に必要とされるコスト
- EBITDAとは国家間で異なる税率や金利水準を考慮しない本業利益
- EV/EBITDA倍率とは買収コストが何年後に回収できるかで割安性を評価する指標
- 特別損益(一時的な損益)の影響も受けない
EVとEBITDAについて理解できればEV/EBITDA倍率もカンタン。
EV/EBITDA倍率とは買収コストの理論値が何年後に回収できるかを測定する指標です。
ある企業の買収コストが100万円で毎年20万円の利益が予想できるなら回収まで5年(EV/EBITDA倍率は5倍)。
一方で、毎年10万円の利益しか出ない場合は回収まで10年が必要です(EV/EBITDA倍率は10倍)。
もちろん早期に買収コストが回収できる方が嬉しいため、EV/EBITDA倍率の値が低いほど株価は割安です。
EV/EBITDA倍率の目安は9.1倍
- EV/EBITDA倍率の目安は9.1倍
日経225の企業データ(2019)を活用してEV/EBITDA倍率を計算したところ、平均値は9.1倍となりました。
日本を代表する大企業群を買収した場合、およそ10年弱で買収コストを回収できることが分かりますね。
発行済株式数や営業利益など、企業の財務情報を確認するなら一次情報のEDINETかバフェットコードが効率的。ぜひチェックしてみましょう!
EV/EBITDA倍率を低くする方法
時価総額を減らすネット有利子負債を減らす- 営業利益を増やす
減価償却費を増やす
EV/EBITDA倍率を低くする(株価を割安にする)には上記の4つの方法が存在しますが、何より優先すべきなのは営業利益の増加でしょう。
営業利益が増えれば有利子負債を減らすことも自己株式の消却によって発行済株式数を減らす(理論的には株価を落とさずに時価総額を減らす)ことも可能。
具体的な営業利益の上げ方(売上高の増加と費用の削減)については業種や業態、企業体力やトレンドによって左右されるためここでは割愛しますが、経営者の腕の見せ所であることは間違いありませんね!
EV/EBITDA倍率が低い上場企業3社を紹介
なおころが独自開発した財務分析エクセル【IRIS】の分析結果と合わせて、日経225企業のEV/EBITDA倍率ランキングTOP3を発表。
目安となる9.1倍を大きく下回る割安な企業ばかりです。
EV/EBITDA倍率1.460倍 コニカミノルタ
コニカミノルタ | |
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証券コード | 4902 |
EV/EBITDA倍率 | 1.460倍 |
財務分析 | 57点 |
EV/EBITDA倍率1.462倍 パナソニック
パナソニック | |
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証券コード | 6752 |
EV/EBITDA倍率 | 1.462倍 |
財務分析 | 58点 |
EV/EBITDA倍率1.85倍 NTTデータ
NTTデータ | |
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証券コード | 9613 |
EV/EBITDA倍率 | 1.85倍 |
財務分析 | 58点 |
EV/EBITDA倍率をさらに詳しく知るための書籍
EV/EBITDA倍率をもっと詳しく知りたい方には『財務諸表分析』がおすすめです。
FCFやEVAなど、やや難易度の高い財務指標の解説や財務諸表の相互関係などが分かりやすく解説されており、企業分析者なら読んでおいて損はありません。
「本気で財務分析力をつけたい!」そんなあなたにぴったりの一冊です!
EV/EBITDA倍率は総合的な割安性を測定する指標 | まとめ
EV/EBITDA倍率の特徴まとめ
- 買収コストと本業利益から株価の割安性を測定する指標
- EV/EBITDA倍率=EV÷EBITDA
- 目安は9.1倍(低い方が割安)
本ページでは買収コストと(世界的に差異が出にくい)本業利益から株価の割安性を測定する財務指標EV/EBITDA倍率について解説しました。
計算には財務3表すべてを活用する必要があり、企業の総合的な割安性の評価、特に国境を超えた企業比較で真価を発揮します。
投資前には競合の値と合わせてチェックしてみましょう!
疑問点などあればなおころのLINEにいつでもご連絡ください!
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