本ページでは営業CFから株価の割安性を測定する財務指標【PCFR】についてわかりやすく解説します。
指標の計算式や目安となる数字、PCFRを低くする方法など、投資家やアナリストが注意すべきポイントをまとめてお届け!
PCFR(株価キャッシュフロー)とは?意味と計算式を解説
PCFR 株価キャッシュフロー倍率 (倍) |
|
---|---|
指標分類 | 割安性 |
意味 | 営業CFから株価の 割安性を測定する指標 |
計算式 | PCFR=時価総額÷営業CF |
目安 | 11.9倍 |
改善方法 | 時価総額を減らす 営業CFを増やす |
算出に 必要な 財務諸表 |
BS:必要なし |
PL:当期純利益 | |
CF:営業CF | |
備考 | 営業CFがマイナスの 場合はPCFRが計算できない |
英語名 | Price Cash-Flow Ratio |
営業CFから株価の割安性を評価する財務指標【PCFR】は時価総額を営業CFで割ることにより算出できます。
PCFRをより深く理解するために2つの語句の定義を確認しておきましょう⬇︎
項目名 | 掲載 財務諸表 |
概要 | 代表的な勘定科目 |
---|---|---|---|
時価総額 | – | 分析時の株価と 発行済株式数を 乗算した値 |
なし (株価×発行済株式数) |
営業CF | CF | 本業によって 増減した現金の変動額 |
営業CF |
つまり、PCFRとは企業の理論上の買収価格(時価総額)が営業CFの何倍程度かを見極める指標です。
仮にあなたが2,000万円の資金で、ある企業の株式を全部買い占めた場合を想像して下さい。
その投資先企業が毎年200万円のキャッシュを確保できているなら、およそ10年間で元が取れる計算になりますよね。
言い換えれば、PCFRとは「(この先同程度の営業CFが期待できる場合)あなたの投資資金が何年分の営業CFで回収できるか」を意味しています。
当然、投資した2,000万円が1年で回収できれば(年間の営業CFが2,000万円なら)株価は割安、20年でやっと回収が終わるようなら(年間の営業CFが100万円なら)株価は割高と言えるでしょう。
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)は、PERとは異なり減価償却を加味します(営業CF≒税引き前当期純利益+減価償却)。
減価償却方法が異なる企業を比較する上で特に有用であり「大幅な設備投資をしていたが故に利益が低空飛行(実はしっかり投資を行っている)」そんなお宝銘柄も発掘できるのが強みです。
- PCFR=時価総額÷営業CF
- PCFR=株価×発行済株式数÷CFPS(1株あたりCF)×発行済株式数
- PCFR=株価÷CFPS
CFPSはPCFRの分子分母から発行済株式数を取り除いた指数。
つまり、PCFRとは(この先も同等のCFPSが予想できる場合)あなたが購入した1株が何年程度で回収できるかを測定する指標と言えるでしょう。
1株あたりで考えた場合、時価総額で考えた場合どちらも意味するところに変わりはないため、あなたが計算しやすい方を活用するのがおすすめです。
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)の目安は11.9倍
- PCFRの目安は11.9倍
日経225の企業データ(2019)を活用してPCFRを計算したところ、平均値は11.9倍となりました。
日本を代表する大企業群においては、投資したお金がおよそ12年後に回収できることが分かりますね。
当期純利益に法人税と減価償却費を足し戻した営業CFの値が分母にあるため、PCFRはPER(株価収益率)よりも低くなるのが一般的。
ただ、営業CFがマイナスの場合はPCFRが計算できず、割安性を評価できない点には注意しておきましょう。
あなたが気になる企業の株価・発行済株式数・営業CFを入力してみましょう!自動的にPCFRが計算されます。
企業の財務情報を確認するなら一次情報のEDINETかバフェットコードが効率的。ぜひチェックしてみましょう!
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)を低くする方法
- 時価総額を減らす
- 営業CFを増やす
PCFRを低くする(株価を割安にする)には時価総額を減らすか営業CFを増やすかの2択しかありません。
株式の消却や併合により発行済株式数を減らし、時価総額の値を抑えることも可能ですが、自己株式を利用した資金調達の幅が狭くなるデメリットを抱えているため乱発することはできません。
営業CFを構成する最大要素は損益計算書の「税引前当期純利益」であるため、PERを低くする方法(当期純利益を増やす)をそのまま活用できますね。
具体的には時流や競合の動きを掴みつつ売上の増加と費用の削減。加えて、PCFRには減価償却費も足し戻されるため、大型の設備投資も大きなマイナス要因にはなりません。
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)が低い上場企業3社を紹介
なおころが独自開発した財務分析エクセル【IRIS】の分析結果と合わせて、日経225企業のPCFRランキングTOP3を発表します。
PCFR1.3倍 三井E&Sホールディングス
三井E&Sホールディングス | |
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証券コード | 7003 |
PCFR | 1.3倍 |
財務分析 | 35点 |
PCFR2.4倍 日産自動車
日産自動車 | |
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証券コード | 7201 |
PCFR | 2.4倍 |
財務分析 | 46点 |
PCFR2.7倍 松井証券
松井証券 | |
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証券コード | 8628 |
PCFR | 2.7倍 |
財務分析 | 49点 |
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)をさらに詳しく知るための書籍
PCFRをもっと詳しく知りたい方には『新・企業価値評価 』がおすすめです。
財務指標を活用した多角的な企業価値の算出方法がガッツリ解説されており、企業分析者には必読の一冊。
「企業のファンダメンタルズ分析を極めたい!」そんなあなたにぴったりの一冊です!
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)は営業CFで割安性を測定する指標 | まとめ
PCFRの特徴まとめ
- 営業CFから株価の割安性を測定する指標
- PCFR=時価総額÷営業CF
- 目安は11.9倍(低い方が割安)
本ページでは営業CFから株価の割安性を測定する財務指標PCFRについて解説しました。
株価の割安性を、経営者が嘘をつきにくい(操作しにくい)営業CFで評価しているため、信頼度の高い指標ですよ。
投資前には競合の値と合わせてチェックしてみましょう!
疑問点などあればなおころのLINEにいつでもご連絡ください!
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