本ページでは、企業の資金回収スピードを測定する財務指標CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)についてわかりやすく解説します。
倒産リスクや資金効率を測定する指標として米国でも注目されている重要指標。
計算式や目安となる数字など、企業分析者なら絶対に理解しておきたいCCCのポイントをまとめてお届けします!
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)とは?計算式を解説
CCC キャッシュコンバージョンサイクル (日) |
|
---|---|
指標分類 | 効率性 |
意味 | 仕入れ代金の支払いから 販売代金の回収までに かかる日数を測定する指標。 |
計算式 | CCC=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間ー仕入債務回転期間 |
目安 | 73.8日(短い方が好ましい) |
改善方法 | 売上債権回転期間を短くする 棚卸資産回転期間を短くする 仕入債務回転期間を長くする |
算出に 必要な 財務諸表 |
BS:売上債権、棚卸資産、仕入債務 |
PL:売上高、売上原価 | |
CF:必要なし | |
英語名 | Cash Conversion Cycle |
【CCC】とは企業の最もお金がない期間(取引先には原材料の代金を支払い、売上金がまだ入って来ていない期間)の長さを測定する財務指標。
売上債権回転期間と棚卸資産回転期間を合計した値から、仕入債務回転期間の日数を引くことで算出できます。
まずは3つの語句の定義を確認しておきましょう⬇︎
項目名 | 概要 | 計算式 |
---|---|---|
売上債権 回転期間 |
商品を販売してから 代金が入金される までの期間(日数) |
売上債権÷(売上高÷365) |
棚卸資産 回転期間 |
商品を仕入れてから 販売するまでの 期間(日数) |
棚卸資産÷(売上原価÷365) |
仕入債務 回転期間 |
商品を仕入れた 取引先に代金を支払う までの期間(日数) |
仕入債務÷(売上原価÷365) |
- なおころカンパニーがA社からパソコンを仕入れてB社に販売する場合
仕入ある日、なおころカンパニーがA社から100万円分のパソコンを仕入れました(営業サイクルスタート)。
支払仕入れたタイミングに現金での支払はなく、パソコンの仕入れから40日後にA社へ商品代100万円を支払います(仕入債務回転期間:40日)。
販売20日が経過後、A社から仕入れたパソコンを200万円でB社に販売できました(棚卸資産回転期間:60日)。ただ、B社は業界内での立場が強く、支払いは80日後にしてほしいと要求され、なおころカンパニーはそれを承諾。
入金パソコンの販売から80日後、B社から売上金が現金で振り込まれました(売上債権回転期間:80日
つまり、なおころカンパニーは100万円で商品を仕入れた後、200万の売却益が手元に入ってくるまでに100日必要でした。
もちろんこの間に資金が底を尽きれば倒産の可能性も出てくるでしょう。倒産リスクを低くするためにCCCは短いほど好ましいのです。
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)とは、現金をどれだけ早く回収できるかの尺度であり、資金の回転率を測定しているとも言えるでしょう。
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)の目安は73.8日
- CCCの目安は73.8日
日経225の企業データ(2019)を活用してCCCを計算したところ、平均値は73.8日となりました。
つまり、日本を代表する企業群は現金の回収に2.5ヶ月ほど要していることが分かりますね。
基本的には老舗や業界シェアが高い企業ほど交渉力が強く、CCCが短い傾向にあります。あなたの就職先や取引先のCCCはおよそ何日でしょうか?
次章のシミュレーターやEDINETを活用してチェックしてみましょう!
各種回転期間の値を算出したい場合は、各指標の詳細ページに設置されているシミュレーターをご利用ください。
ぜひ気になる企業のCCCを計算してみましょう!
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)を短くする方法
- 売上債権回転期間(日数)を短くする
- 棚卸資産回転期間(日数)を短くする
- 仕入債務回転期間(日数)を長くする
CCCは3つの変数によって自動的に決まる値であるため、その改善には3つの回転期間を操作するしかありません。
各回転期間の短縮化・長期化の方法は各詳細ページに記載してあります。気になる方は合わせてご覧ください!
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)がマイナスの米国企業
Amazon(アマゾン)のCCCはマイナス34日
AmazonのCCCはなんとマイナス34日(2017)。3つの回転期間の値を確認してみましょう。
棚卸資産回転期間が52日、売上債権回転期間が27日。これらは他の企業と遜色ありませんね。注目すべきは113日の仕入債務回転期間です。
つまり取引先から商品を仕入れ、商品の販売・売上金の回収が終わってから仕入れ代金を支払える状態。CCCがマイナスなら運転資金は不要、むしろ資金が余っているとも言えるでしょう。
ECサイトとして圧倒的なシェアを持つAmazon(アマゾン)だからこそできる戦術でしょう。仕入先への支払い期限を大幅に遅らせることでキャッシュフローに余裕を持たせています。
Apple(アップル)のCCCはマイナス20日
AppleのCCCはマイナス20日(2010)。各要素を分解すると面白い結果になりました。
棚卸資産回転期間が50日、仕入債務回転期間が30日。こちらは他の企業と同等の値でしょう。
異常値となるのはマイナス40日をマークする売上債権回転期間。商品を販売先に届ける前にも関わらずAppleに売上金が入金されている状態なのです。
圧倒的なブランド力と売上実績を誇るAppleならではの戦術と言えるでしょう。結果的にCCCはマイナス20日、こちらも運転資金は不要と羨ましい状況です。
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)をさらに詳しく知るための書籍
財務指標のCCCをもっと詳しく知りたい方には『amazon 世界最先端の戦略がわかる』がおすすめ!
Amazonの企業戦略に加えて、CCCに関する記載も豊富です。耳で聴くaudibleにも採用されているため、通勤や家事などの「ながらインプット」にもぴったりです。
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)は資金効率を測定する指標 | まとめ
CCCの特徴まとめ
- 仕入代金を払ってから売上を現金で回収するまでの期間
- CCC=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間ー仕入債務回転期間
- 目安は73.8日(短い方が好ましい)
本ページでは企業の資金回収スピードを測定する財務指標CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)について解説しました。
あなたの就職先や取引先企業のCCCは何日くらいでしょうか?ぜひチェックしてみましょう。
疑問点などあればなおころのLINEにいつでもご連絡ください!
https://availability89.com/financial-indicators/