本ページでは企業の長期的な成長率を測定する上では欠かせないCAGRについてわかりやすく解説します。
定義となる計算式やエクセルでの算出方法など企業分析者に役立つポイントをまとめてお届け。
やや難しい指標であるため、ぜひブックマークして何度も読み返して下さい!
CAGR(年平均成長率)とは?意味と計算式を解説
CAGR(年平均成長率) (%) |
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指標分類 | 成長率 |
意味 | 複数年にわたる売上高や 利益額の平均的な成長率を 複利を加味して測定する指標 |
英語名 | Compound Average Frowth Rate |
読み方 | ケーガまたは シーエージーアール |
CAGRとは、企業の業績を長期間で分析する際に売上高や利益額が平均すると年間で何%成長しているかを測定できる指標です。
例えば以下のようなペースで売上高が増加している企業があるとしましょう。
パターン① | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
売上高 (百万円) |
100 | 200 | 400 |
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▶︎2018年から2020年までの 年間平均成長率は100% |
パターン② | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
売上高 (百万円) |
100 | 80 | 200 |
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▶︎2018年から2020年までの 年間平均成長率は41% |
パターン①は売上高が毎年2倍になっているため、年間平均成長率は100%です。暗算でも計算できますね。
ただ、パターン②は暗算での算出は難しいでしょう。それでも上記で紹介したCAGRの公式を使えば簡単に計算できますよ。
加えてパターン②の2018年から2019年のように、売上高など常にプラスの値をとる項目であれば例えマイナス成長であっても成長率が計算できるのはCAGRの隠れたメリットです!
CAGR(年平均成長率)を図解でわかりやすく解説
ある企業の売上高が、2016年から2020年まで図のように推移していたとしましょう。
この5年間で売上高は平均的に何%成長しているでしょうか?
年平均成長率を意味するCAGRはグラフ上の赤線で示されている通り、初年度(2016年)と最新年度(2020年)の売上を繋いだ線の傾きです。
2016年から2017年、または2017年から2018年など毎年の売上高成長率は異なる企業がほとんどでしょう。
そこで「仮に2016年から2020年まで同じ成長率で売上高が成長した」と強めの仮定を設定しているのです。
そうすれば初年度と最新年度の売上高の差分が「4年間の売上高増加分の合計値」となり、両点を結んだ線の傾きが1年間あたりの平均的な成長率です。
数学で習う単純平均の公式(要素を全て足し合わせた後に割る)を応用しただけですね。
よって、グラフ上の赤線の傾きがCAGR(年平均成長率)となるのです。
CAGR(年平均成長率)の導出 | 上級者向け
画像の例では各年の売上高成長率が1%、3%、2%、6%とバラバラです。
一方で「毎年g%成長した」と考えるのが年平均成長率の考え方であり、この「g%」こそがCAGRです。
- CAGR=(Y^(1/4)ー1)×100
- ここでのYは最新年度の売上高÷初年度の売上高と合致
- CAGR=((最新年度の売上高÷初年度の売上高)^(1/4)ー1)×100
- 企業の売上高成長率は毎年異なる
- CAGRは毎年平均的にg%成長していると仮定して計算する
CAGR(年平均成長率)のエクセル計算式を解説
- 初年度(2016年)の売上高が100
- 最新年度(2020年)の売上高が1,600
- CAGR=((1600/100)^(1/(5-1))-1)*100
上記の青い部分をそのままコピーしてエクセルのセルに貼り付けてください。
計算結果に「100」が表示されていれば成功です。つまりこの企業は毎年のように売上高が倍になっていることを意味していますよ(100→200→400→800→1.600)。
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CAGR(年平均成長率)の目安
日経225の企業データ(2017-2019)を活用して計算した各項目のCAGRは上記の通り。
※マイナスの利益額がプラスに転じた場合など、CAGRが計算できない企業は対象外。
純資産CAGRの目安は14.6%
純資産のCAGR (%) | |
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目安 | 14.6% |
日経225 トップ3 |
武田薬品工業:62.7% |
ソフトバンクG:41.9% | |
アドバンテスト:34.7% | |
改善例 | ・利益(剰余金)の増加 ・増資 |
売上高CAGRの目安は6.5%
売上高のCAGR (%) | |
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目安 | 6.5% |
日経225 トップ3 |
東海カーボン:61.5% |
三菱商事:58.3% | |
伊藤忠商事:54.8% | |
改善例 | ・事業拡大や多角化 ・競合の買収 |
当期純利益CAGRの目安は6.4%
当期純利益のCAGR (%) | |
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目安 | 6.4% |
日経225 トップ3 |
ニコン:309.4% |
リコー:276.7% | |
昭和電工:201.0% | |
改善例 | ・売上高の増加 ・費用の削減 |
営業CFのCAGRの目安は8.7%
営業CFのCAGR (%) | |
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目安 | 14.6% |
日経225 トップ3 |
双日:961.0% |
松井証券:199.8% | |
大和証券G:161.6% | |
改善例 | ・本業利益の増加 ・資金回収の早期化 |
CAGRとは毎年の年平均な成長率 | まとめ
CAGR(年平均成長率)とは
- 毎年の平均的な成長率を測定する指標
本ページでは、ある期間における毎年の平均的な成長率を測定する財務指標CAGRについてわかりやすく解説しました。
企業を分析する際には、単年の数字だけではなく、その推移や成長率も合わせてチェックしておきましょう!
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5年間のCAGRは1/5(i/o 1/(5-1))乗で計算すると思いますよ。